どんなにとんでも、
俺は、俺から飛び立つことは出来ないのに。

Cain(2009.7) 鉛筆、AzPainter
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「これから着地するっていうときが一番好きなんだ」
いつだったか、セシルがそう言うのを聞いた。
「それまで小さく見えていた町並みが、どんどん大きくなって、始めは町があるってことしかわからないのに、段々一つ一つの家、一人一人の顔まで見えてくる。そして僕はその中に帰るんだ」
庶民に憧れる貴族の物言いだな、と俺は思い、実際にそう言った。
セシルはそうだね、と目を細め、そのあとで「カインは?」と振り返った。
親友のような感慨を感じたことは無かったから、何を聞かれたのか一瞬よくわからなかった。少しだけ真面目に答えを考えようとしてすぐに諦め、「さあな、考えたことが無い」と返す。
追求を避けてぼんやりと顔を上げる。
セシルもその視線の先を追った。「カインはそうやっていつも空を見てる」
言い当てられて、かすかに苦笑した。
別に空を好きなわけではないのだと思う。父は空から見守っていると、葬儀のときに吹き込まれたのを信じているわけではない。
それでも空に焦がれるのは、
「ただ……もっと高く、飛びたいんだ」
呟いた声は風に散らされて、セシルには届かないだろうな、と思った。

セシルは知っているだろう。
俺だって、わかってはいるのだ――





セシルは割りと現実主義、カインは夢見がちなイメージなんです。
文章は得意じゃない自分にしてもしてもテンポとか言い回しとか酷すぎる気がする。