果敢なき剣 (2014.3.10)AzDrawing、AzPainter2

彼は一介の兵士でしかなかった。

仕えた国は既に亡く、その身も一度地に伏したはずであった。
己が誇りは、意志はとうに霧散して、
呪術によって吹き込まれた憤怒に駆り立てられるまま、
その骸は未だ戦場に立っていた。

彼は一介の兵士でしかなかった。

ただその房飾りからマダラオ(斑尾)とのみ呼ばれた。


「pixivファンタジア Fallen Kings」を見てたら居ても立っても居られなくなって、
国は滅ぼされて死者の軍勢が復讐のために立ち上がるって何その設定からして不幸な国!
って思って思わず描いてしまいました。ざらざらした塗りが楽しい。

ところでこいつの所属勢力は総合勝利したんですが、
死者として一時的に蘇っていた命は消えていったらしく
勝ったとはいえ寂しのある結末だったなーという感じです。戦争だもんね。そんなもんだよね。

ペルシャとかモンゴルの騎馬民族の鎧を見ながら。(歩兵だけど。)

***以下描いた時のメモから。***

長身だが、ひょろ長く伸びた手足を持て余している成長途上の青年。
頭蓋骨を模した面頬の下半分は割れて無くなっており、
その陰から覗く瞳は茫洋として、今となってはなんの感情も読み取れない。

なめし皮の胴衣の上に胸部のみ板金鎧。
厚手の脚衣は古くから一部の歩兵団に採用されていた股上の長い独特の形状であるが、
多くの若者と同様に腰部で折って着用している。
(かつては機動性を損なわない柔らかい革が高価であったため厚手の布製品で腹部までカバーしていた)

マダラオの呼称の元となった兜飾りの冠羽は、
彼固有のものではなく国軍遊撃部隊であった一兵団の流行である。